平成29年 1級建築施工管理 NO.34~NO.45

平成29年度試験問題
公共建築工事標準仕様書
建築工事監理指針 上巻
建築工事監理指針 下巻


NO.34 アスファルト防水の密着工法(A-1,A-2,A-3。溶かしたアスファルトでルーフィングを流し張り)に関する記述
1. 低煙・低臭タイプのアスファルトの溶融温度の上限は、300℃とする。
→誤。
240℃以下。
建築工事監理指針9.2.4(3)



2. コンクリートスラブの打継ぎ部(スラブの鉛直打継目)は、絶縁用テープ(養生テープ)を張り付けた後、幅300㎜程度のストレッチルーフィング(不織布製で紙のルーフィングより破れにくい)を増張り(平場のルーフィングを張付けする前に出隅入隅目地に増張り)する。

公共建築工事標準仕様書9.2.4(4)(ア)


3. 平場部のルーフィングの張付けに先立ち、入隅は幅300㎜程度のストレッチルーフィングを増張りする。

公共建築工事標準仕様書9.2.4(4)(ア)


4. 平場部のアスファルトルーフィング類の重ね幅は、縦横とも100㎜程度とする。

アスファルトルーフィング類の継目は、幅方向、長手方向とも、100㎜以上重ね合わせ、 水下側のアスファルトルーフィング類を、下側に張り重ねる。
公共建築工事標準仕様書9.2.4(4)(イ)

アスファルト防水工法・密着保護仕様(動画) 田島ルーフィング㈱



NO.35 ウレタンゴム系塗膜防水(絶縁工法(X-1)密着方法(X-2))に関する記述
1. 防水材の塗継ぎの重ね幅を50㎜、補強布(メッシュ)の重ね幅を100㎜とした。
→誤。

塗継ぎの重ね幅は100㎜以上とし、補強布の重ね幅は50㎜以上とする。
公共建築工事標準仕様書9.5.4(4)(ウ)

密着工法:
下地→プライマー→ウレタン1次塗り(下塗り→補強布→上塗り)→ウレタン2次塗り


オルタックスカイ密着メッシュ入り工法 田島ルーフィング㈱


2. 絶縁工法において、立上り部の補強布は、平場部の通気緩衝シートの上に100㎜張り掛けて防水材を塗布した。

建築工事監理指針9.5.4図9.5.2

絶縁工法:
下地→プライマー→通気緩衝シート→ウレタン2度塗り


オルタックスカイ複合工法 田島ルーフィング㈱


通気緩衝シート


3. 平場部の防水材の総使用量は、硬化物密度が1.0Mg/m3(1メガグラム=1トン。水と同じ比重という意味)だったので、3.0kg/m2とした。

公共建築工事標準仕様書9.5.3(1)表



4. 密着工法において、平場部に張り付ける補強布は、防水材を塗りながら張り付けた。

密着工法:
下地→プライマー→ウレタン1次塗り(下塗り→補強布→上塗り)→ウレタン2次塗り

ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水工法・密着仕様(動画) 田島ルーフィング㈱
ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水工法・絶縁仕様(動画) 田島ルーフィング㈱



NO.36 乾式工法(金物で取付)による外壁張り石工事に関する記述
1. 石材は、最大寸法を幅1,000㎜、高さ800㎜とし、重量を70kg以下とした。

石材寸法
幅、高さ≦1.2m、面積≦0.8m2、重さ≦70kg。
公共建築工事標準仕様書10.2.2(2)


2. 厚さ30㎜、大きさ500㎜角の石材のだぼ孔の端あき寸法は、120㎜とした。

ダボ穴の位置は、石材の端からいくつ寄りですか、という問題。

だぼ用の穴の位置は~石材の上端横目地合端に2か所、両端部から石材幅の1/4程度の位置に設ける。
公共建築工事標準仕様書10.5.2(2)


3. 厚さが30㎜の石材のだぼ孔は、石材の裏面から15㎜の位置とし、孔径を4㎜とした。
→誤。
3.2㎜。基本3.2㎜。

だぼ穴は、板厚方向の中央とする。
公共建築工事標準仕様書10.5.2(2)

引金物、だぼ及びかすがいの材質はステンレスとし、寸法は表による。
公共建築工事標準仕様書10.2.2(1)



4. 下地のコンクリート面の寸法精度は、±10㎜以内となるようにした。

公共建築工事標準仕様書10.1.3(3)



NO.37 金属板葺屋根工事(ガルバリウム鋼鈑等による平葺、瓦棒葺、横葺)に関する記述
1. 平葺(ジョイントに瓦棒を使わないで金属板と金属板を引っ掛けてつなぐ)の小はぜ掛け(金属板のジョイント)は、上はぜの折返し幅を15㎜、下はぜの折返し幅を10㎜とした。
→誤。
上はぜの折返しのほうを5㎜程度小さくする。

こはぜは3~6㎜程度の隙間を作り、防水上の毛細管現象を防ぐ。
建築工事監理指針13.2.3(4)(イ)

小はぜの折返し


2. 横葺の葺板の継手位置は、縦に一直線状とならないよう千鳥に配置した。


横葺


3. 平葺の吊子(取付金物。金属板を野路板に留める)は、葺板と同種同厚の材とし、幅30㎜、長さ70㎜とした。


吊子金物


4. 塗装溶融亜鉛めっき鋼板を用いた金属板葺きのドリルねじ等の留付け用部材には、亜鉛めっき製品を使用した。

留付け用部材は、屋根材に応じ、亜鉛めっきを施した鋼製又はステンレス製とする。
公共建築工事標準仕様書13.2.2(2)
異種金属接触腐食防止。



NO.38 軽量鉄骨壁下地(LGS)に関する記述
1. 鉄骨梁に取り付く上部ランナーは、耐火被覆工事の後、あらかじめ鉄骨梁に取り付けられた先付け金物(ランナー受け)に溶接で固定した。

建築工事監理指針14.5.4(1)



鉄骨梁とランナーの取り合い


2. コンクリート壁に添え付くスタッドは、上下ランナーに差し込み、コンクリート壁に打込みピンで固定した。

壁とスタッドの取り合いの話。
端のスタッドは壁にどん付け。スタッドをピンで固定するなら、振れ止め(Cチャン)より上の位置に1発。

スタッドがコンクリート壁等に添え付く場合は、スペーサー(スタッドにはめるアレ)で振れ止め上部を押え、必要に応じて、振れ止め上部のスタッドは、打込みピン等で固定する。
公共建築工事標準仕様書14.5.4(2)


3. 区分記号65形のスタッド材を使用したそで壁端部は、垂直方向の補強材の長さが4.0mを超えるので、スタッド材を2本抱き合わせて溶接したもので補強した。
→誤。
開口補強にスタッドを使っちゃだめ。ライトゲージを使うこと。

出入口及びこれに準ずる開口部の補強は~次による。
(ア) 縦枠補強材は、上は梁、スラブ下の類に達するものとし、上下とも、あと施工アンカー等で固定した取付け用金物に溶接又はボルトの類で取り付ける。 なお、65形で補強材が4.0mを超える場合は、2本抱き合わせて、端部を押さえ、間隔600mm程度に溶接等で、組み立てたものを用いる。
(イ) 上枠等の補強材は、縦枠補強材に取付け用金物を用いて、溶接又は小ねじの類で取り付ける。
(ウ) 開口部のために切断されたスタッドは、上下枠補強材にランナーを固定し、これに取り付ける。
公共建築工事標準仕様書14.5.4(5)


開口補強の補強材にはライトゲージを使用する。


ライトゲージ

建築用鋼製下地材(壁・天井)JISA6517


4. 振れ止め(スタッドをつなぐ横棒。チャンネルの38か25)は、床ランナーの下端から間隔約1,200㎜ごとに取り付け、上部ランナーの上端から400㎜以内に位置するものは取付けを省略した。

公共建築工事標準仕様書14.5.4(3)



NO.39 内壁コンクリート下地のセメントモルタル塗り(仕上げ)に関する記述
1. モルタルの塗厚は、下塗りから上塗りまでの合計で30㎜とした。
→誤。
20㎜。
公共建築工事標準仕様書15.3.3(1)




2. 下塗り用モルタルの調合は、容積比でセメント対砂2.5とした。

公共建築工事標準仕様書15.3.3(1)
下塗りは富調合にして、くいつきを良くする。


3. 下地処理をポリマーセメントペースト(セメント+混和剤+水。下地補修用)塗りとしたため、乾燥しないうちに下塗りを行った。

(a) ~吸水調整材塗りに代えてポリマーセメントペーストを1~2㎜塗りとすることができる。
(b) 塗付けは~ポリマーセメントペースト塗りを行った場合はポリマーセメントペーストが乾燥しないうちに、塗残しのないよう全面に行う。
公共建築工事標準仕様書15.3.5(1)(ア)


4. 吸水調整材を塗布後1時間以上おいた後に、乾燥を確認してから下塗りを行った。

塗付けは、吸水調整材塗りを行った場合は乾燥後~塗残しのないよう全面に行う。
公共建築工事標準仕様書15.3.5(1)(ア)

吸水調整材:
吸水防止剤。エチレン酢酸ビニル等。白ボンドを水で薄めたみたいなもの。



NO.40 金属製建具工事(SD、アルミサッシ、防火戸、シャッター等)に関する記述
1. 鋼製軽量建具(ハニカムコアに化粧鋼板0.6㎜。内装に使うスチールドア)に使用する戸の表面板は、厚さ0.6㎜とした。

軽量SDに使う鋼板の厚さを問う問題。
・軽量SDに使う鋼材の厚さは、0.6㎜、1.6㎜。
・くつずりが1.5㎜なのは、ステンの規格に1.6㎜がないから。


公共建築工事標準仕様書16.5.4

・SDに使う鋼材の厚さは、1.6㎜。2.3㎜。


2. 外部鋼製建具(SD)枠の組立てにおいて、厚さ2.3㎜の裏板補強のうえ、小ねじ留めとした。
→誤。
SDは基本溶接。屋内で使用するものは、ねじ留めでもよい。

隅は、上部は留め(枠のおさまりの話。45°の材同士を突付けて直角に)として溶接又は縦延ばし胴付き(縦枠勝ちで突付け)溶接、下部は胴付きとし、外部に面するものは溶接とする。
ただし、屋内に使用する鋼製建具は、溶接に代えて小ねじ留め(裏板厚さ2.3mm以上)によることができる。
公共建築工事標準仕様書16.4.5(1)


3. 排煙窓の手動開放装置の操作部分を壁に取り付ける高さは、床面から90㎝とした。

手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から八十センチメートル以上一・五メートル以下の高さの位置に~設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
建基法施行令126の3.1.5


4. 鋼製軽量建具に使用する戸の力骨は、厚さ1.6㎜とした。

公共建築工事標準仕様書16.5.4

軽量SDに使う鋼材の厚さは、0.6㎜、1.6㎜。
SDに使う鋼材の厚さは、1.6㎜。2.3㎜。
くつずりが1.5㎜なのは、ステンの規格に1.6㎜がないから。



NO.41 コンクリート素地面の塗装工事に関する記述
1. アクリル樹脂系非水分散形塗料(NAD:Non Aqueous Dispersion。低シンナー。屋内モルタル用)塗りにおいて、中塗りを行う前(下塗りの後)に研磨紙P220を用いて研磨した。

公共建築工事標準仕様書18.6.2


2. 2液形ポリウレタンエナメル塗りにおいて、中塗り後、上塗りまでの工程間隔時間を3時間とした。
→誤。
標準塗装間隔1日。
セラテクトU製品説明書 関西ペイント㈱

2液形ポリウレタンエナメル塗り:鋼構造物用耐候性塗料(JISK5659)。

2液性イソシアネート硬化ポリウレタン樹脂:
常温で硬化乾燥して溶剤が蒸発すると、ポリオールとイソシアネート樹脂が反応して、ウレタン結合を有する皮膜を形成する。

ポリオール+イソシアネート→ポリウレタン樹脂


3. 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗り(フッ素塗装。耐候性良。長寿命)の下塗りにおいて、塗料を素地に浸透させるため、ローラーブラシ塗りとした。

コンクリート外壁をフッ素樹脂塗装する場合、下塗りには浸透性シーラーを使用する。
公共建築工事標準仕様書18.17.4


4. 合成樹脂エマルションペイント(いわゆる水性塗料。モルタル、ALC、ボード。屋外も可)塗りにおいて、流動性を上げるため、水で希釈して使用した。

EPは、水による希釈が可能で加水して塗料に流動性をもたせることができる。
建築工事監理指針18.9.2(1)



NO.42 ビニル床シート(長尺、CF)及びビニル床タイル張りに関する記述
1. 床シートの張付けは、圧着棒を用いて空気を押し出すように行い、その後45kgローラーで圧着する。


リノリュームローラー ヤヨイ化学工業㈱


2. 熱溶接工法(ジョイントをVカットし、溶接棒と床材を溶融加圧して溶接)において、溶接部の床シートの溝部分と溶接棒は、250~300℃の熱風で加熱溶融させ、圧着溶接する。
→誤。
溶接棒の材料温度が180℃になるときの、ライスター溶接機の設定温度は350~400℃らしいが、設定は機種によって異なるので、溶接機の設定温度で管理するのが正しいわけではない。

ライスター溶接機トリアックST(動画) 極東産機(株)本社
【HAKKO FV-310】作業例 床材の溶接(動画) 白光株式会社

溶接部を材料温度160~200℃の温度で溶接する。
建築工事監理指針19.2.3(4)(カ)



3. 床タイルの張付けは、下地に接着剤を塗布した後、オープンタイム(待ち時間)をとってから張り付ける。


4. 冬季低温時における床タイルの張付けは、バーナー等で床タイルを温めてから圧着する。

床材を加熱して下地とのなじみを良くすることは適切だが、ビニル系の床材をバーナーで炙ることが適切かは疑問である。



NO.43 鉄筋コンクリート造の断熱工事に関する記述
1. 押出法ポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)打込み工法(型枠に打ち込む)において、断熱材の継目にコンクリートがはみ出している箇所は、Vカットした後に断熱材現場発泡工法により補修した。

建築工事監理指針19.9.2(5)(ウ)(d)



2. 押出法ポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)張付け工法において、躯体面とのすき間ができないようにしてから、断熱材を全面接着で張り付けた。

建築工事監理指針19.9.2(5)(エ)


3. 硬質ウレタンフォーム吹付け工法において、吹き付けるコンクリート面の温度が5℃以上であることを確認して吹き付けた。

建築工事監理指針19.9.3(5)(c)


4. 硬質ウレタンフォーム吹付け工法において、断熱材の吹付け厚さが50㎜の箇所は、下吹きをした後、1回で吹き付けた。
→誤。
下吹き5㎜。1回30㎜以下。1日80㎜まで。
建築工事監理指針19.9.3(5)(c)



NO.44 押出成形セメント板(ECP:Extruded Cement Panel(JISA5441))工事に関する記述
1. 横張り工法において、パネル積上げ枚数2~3枚ごとに自重受け金物を取り付けた。

自重受け金物は、横張り工法において、通常、パネル3枚以下毎に垂直荷重を受けるために、下地鋼材及び躯体に取り付ける金物である。
ECP施工標準仕様書1.2


自重受け金物 ㈱日東


2. パネルの割付けにおいて、使用するパネルの最小幅は350㎜とした。

パネルは、規格寸法パネルを使用し割付けることが重要であるが、止むを得ずカットされたパネルを使用する場合は最小幅を300mmとする。
ECP施工標準仕様書4.1(2)


3. 幅600㎜のパネルへの欠込みは、欠込み幅を300㎜以下とした。

使用されるパネルの最小幅は300mm以上。
ECP施工標準仕様書4.1(2)


4. 縦張り工法のパネルは、層間変形に対してロッキング(パネルが回転の動きで変形に追従する)により追従するため、縦目地を15㎜、横目地を8㎜とした。
→誤。
パネルの縦目地は10㎜、横目地は15mmを標準とする。
ECP施工標準仕様書4.1(2)



NO.45 合成樹脂塗床材による床改修工事における、既存床仕上げ材の撤去及び下地処理に関する記述
1. 既存合成樹脂塗床面の上に同じ塗床材を塗り重ねるので、接着性を高めるため、既存仕上げ材の表面を目荒しした。

公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(1)(イ)


2. モルタル塗り下地面の既存合成樹脂塗床材の撤去は、下地モルタルを残し、電動はつり器具を用いて下地モルタルの表面から塗床材のみを削り取った。
→誤。
ブレーカーでつついたら、下地ごとぽこっととれる。

機械的除去工法は、除去範囲は、下地がモルタル塗りの場合はモルタル下地共、コンクリート下地の場合はコンクリート表面から3㎜程度とする。
公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(1)(イ)

電動ハンマー ㈱マキタ


3. 既存床材撤去後の下地コンクリート面において、プライマーの吸込みが激しかったため、プライマーを再塗布した。


4. 既存床材撤去後の下地コンクリート面において、凹凸部の補修はエポキシ樹脂モルタルで行った。

コンクリート又はモルタルの凹凸、段差部分等は、サンダー掛け、~ポリマーセメントモルタル(セメント+混和剤+水。下地補修用)の充填等により補修し、コンクリート金ごて仕上げ程度に仕上げる。 なお、新規仕上げが合成樹脂塗床の場合は、~エポキシ樹脂モルタルにより補修する。
公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(2)


Kモルタル コニシ㈱

エポキシ樹脂モルタル充てん工法(動画) コニシボンド

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